craftory(クラフトリー)について
今から12年前。
大学で考古学というものを覗き始めた。
考古学は「人が残したモノから過去の出来事を読み解く」学問だ。
文字がない時代が研究だから
正確なところは今は分からなかったり、曖昧なまま話が進んだり、
後続の研究を期待したりして
ふわっとしている中で最大限の真実を提示していく。
(もちろん、真実が導き出されているものもある)
その中でも、私が特に興味を持っていたのは「認知考古学」という分野だった。
「モノから当時の人々の思考を読み解く」もので
それこそロマンに溢れていると私は思っている。
例えば、縄文土器といってもエリアによって文様は異なるし、
土にも違いがある。
もちろん土器を作った人が土器を作った段階で経験してきたことも
それぞれ違ったはずだ。
例えば、自然の中で走り回ったり、その自然の猛威に生活を打ち砕かれたり。
例えば、好きな人がいたり、その恋が叶わなかったり。
例えば、大切な人と穏やかな時間を過ごしたり、大切な人を亡くしていたり。
そういう経験が、当時の人々が作ったモノにも反映されている。
その時の思考・感情をいま目の前にあるモノから考えてみる。
すると、古代の人々も私たちと同じように「日常」を生きていたんじゃないかなと思う。
(もちろん、ケータイもない、TVもない、飛行機も飛んでない時代だけれども)
そう思うと古代の人々が急に身近な存在に感じることがある。
身近に感じることで目の前のモノに心が吸い込まれてしまうことがある。
これがロマンなんだろう。
焼き物は古代から使っている道具の中で
現代の私たちにとってもっともなじみのある存在だと思う。
今でも当時の古代の人々と同じように土を探し、練り、成形し、焼き上げる。
「じゃあ、現代の焼き物を作る人たちは何を感じ、何を思い、何を表現しているのかな?」
と、ふと思った。
作った人のバックグラウンドをチラッと覗き見ながら作品を見ると
また違った面白さや趣を見せてくれるんだろうな。
どうせなら作者のことをもっと知っていきたい。
過去に考古学をかじったことで現代の作家にも興味がわいた運営者が、
作品とともに陶芸家の日常をふわっと記していけたらと立ち上げたサイトが【craftory】である。
そうはいっても陶芸家さん達のお話を聞ける機会が貴重なので、少しずつ記していきたいなと考えている。
運営者
かい まい
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