いざ、手びねり。
初めて陶芸体験にやってきた。
体験だからすべての工程を実際にやってみるわけではないけど、
実際に土に触れて、器の形ができてくる風景を見て、
なんとなくでも陶芸家の気分を味わってみたかった。
教室の中は小学校の図工室に似ていて、
初めての場所なのに帰ってきたような、懐かしく落ち着く場所だった。
「体験の方ですね?」めがねと帽子がよく似合う男性が声をかけてくれた。
同日同時間帯の手びねり体験者はわたしだけだった。
担当のお姉さんがつきっきりで指導してくれることとなった。
さらに2020年春からこの教室で働く予定の研修生も同席するらしい。
この研修生、なんと地元が同じ。
苗字聞いたときにそんな気がしたんだ。
さらに以前おしゃべりさせてもらったことのある陶芸家さんと顔見知りだという。
世間はせまいな~。
さて。
この陶芸体験で私が作りたかったのは、ずばり【揚げ出し豆腐が似合う器】。
気に入るものがなかなか見つからなかったので、
せっかくだから作ることにした。
揚げ出し豆腐を作ったことはないんだけどね。
この教室に通う生徒さんが作った作品から
自分がイメージしているものと近い器を見本に選び、
いざ、制作にとりかかる。
粘土を触るのは久しぶり。
中学の美術の時間に自分の手をモチーフにした作品を作ったが
おそらくその時以来。
今回は赤土でつくるらしい。
ひんやり冷たくて滑らかで触り心地よい。
土っていいな。落ち着く。
イメージする器を作るためには、
高台となる部分の粘土を広げ、
紐状の粘土を積み上げ、胴なのか腰なのかまだ分からない部分をつくる。
指でデコボコをたいらにし、へらで表面をならしていく。
昔の人たちは何を思いながら作ったのかな~とか
陶芸家さんたちはこんなときどうするんだろ~とか
考える暇もないくらい成形する時間が楽しかった。
お姉さんが考古学の話を聞いてくれたからかもしれないな。
目の前の作品が形になってくることにワクワクして
周りにいる人たちとの会話にウキウキして
気づいたら仕上げのスタンプを見込みに押していた。
あっという間。
ここから先はすべて教室のスタッフさんが行ってくれる。
1か月後には
釉薬をかけてもらって、焼き上げでちょっと小さくなった器とご対面。
待ち遠しいってこういう感覚だったな~。
今回の陶芸体験をしてみて
ワクワクしてウキウキしたこの感覚を
古代の人たちも感じていたんじゃないかな~っておもった。
古代の人たちはもっと作業的に
生活のために作っていたかもしれないけど。
ただね。人は焼き物に限らず、今に至るまでに様々なモノを作ってきた。
元来「作りたがり」な性分なんだと思う。
そして完成した時の喜びを味わいたい生き物なんだと思いたい。
そう思うと、私は陶芸家じゃなくて古代の人々の生活を味わえたのかもしれないな~
なんてね。
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